彼の居る日常

4/11
前へ
/340ページ
次へ
「ねー、何度も言ってるけど、これあと3センチ着丈伸ばして」 「まこさん、すみません…」 「もー、新入社員じゃないんだから、1回で覚えて。これ終わったら、休憩しといでー、疲れてんでしょ?」 「ありがとーございます!!」 普段から口の悪いあたしは、みんなにどー思われてるんだろう。 今更、言葉遣いを直すなんて、おそらく無理に等しいけども。 あたしの下で働いてくれてるメンバーには、ホントに感謝してる。 それを、ちゃんと言葉で伝えなきゃいけないのは…解ってるけど、なかなか言えない。 「まこさん、これ、新しいカタログです」 「おー、サンキュ」 darlingの最新号のカタログを手に取って、パラパラめくる。 モデルに選んだのは、あたしが原宿でナンパした女の子。 声を掛けた時、それはもー、変な人を見る目であたしを見て、話しを聞いてもらうのに苦労した。 まー、最後はちゃんと店舗に連れて行って、あたしがデザイナーだって解ってくれたんだけど。 「やっぱ可愛いですねー、この子」 「だね、darlingの服、着こなせてるし」 「まこさん、見る目ありますねー。スカウトマンになったらどーですか?」 「ハハハッ…そーかも」 .
/340ページ

最初のコメントを投稿しよう!

14224人が本棚に入れています
本棚に追加