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「お疲れー」
フロアからみんなが帰るのを見送って、ヒップポケットから携帯を取り出す。
「お疲れ」
2コールで聞こえた声に、待っててくれたのかな? なんて、ちょっとニヤける。
「お疲れ、そっち終わった?」
「あー、終わった、下で待ってろ」
「うん、わかった」
パソコンの電源を落とした後、バッグを掬い取ってフロアを後にした。
エントランスに辿り着くと、すぐに見つけた後ろ姿に声を掛ける。
「富田っ、ごめん、お待たせ」
「おせーよ、はい、ペナルティ2」
「は?なんで?」
「俺を待たせたのと、名前」
あー、また、やっちゃった。
長年の癖で、ついつい ゛富田 ″ そう呼んじゃうあたし。
「ごめーん、またさ、不味いカレー作るから許してー」
「バーカ、お前さ、カレーばっかじゃ飽きるっつーの」
「ハハハッ…そっか」
「帰るぞ」
強引に取られた手、ちょっと緊張しながらその手をぎゅっと握った。
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