唇の温度

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富田のお陰で、幾分か綺麗になった部屋。 ローテーブルに至っては、先週の忙しさのせいで放置されたゴミを全部捨ててもらって、久しぶりにテーブルらしくなった。 「こんなもんか?」 「……ありがと」 言った私の頭を一度撫でて、くしゃっと笑った。 富田からビニール袋を渡されて、中を覗くと大量の缶ビール。 「くれんの?」 「バカかお前。飲もーと思って買ってきたんだよ」 「は?今から?」 「そ、休みだし。二日酔いには迎え酒が一番でしょ。明日もどーせ予定ないだろ?お前」 「あたしだって…予定ぐらいは…」 ………ないか。 日曜日にデートする相手も居ないし、女友達はみんな男と会うからって相手にしてくれないし。 「ハハハッ…ないんだろ?はい、じゃあ決定」 .
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