唇の温度

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それから なぜか、あたしの部屋で飲む事になった富田とあたし。 まぁ、富田と飲むのは基本的に楽だし、居心地は悪くない……けども。 昨日の今日で、いくら記憶がないとは言え…気まずさは拭えない。 とりあえず、富田の買ってきた缶ビールで乾杯をして、綺麗になったローテーブルの上に 酒の友『イカの一夜干し』が置かれた。 「うまっ!!」 自分でも、 オッサンか!! テレビで見た コントの突っ込みの真似をして。 「これ」 目の前に出された ブランドタグの入った上質な紙袋。 あー これ富田が好きなブランドだっけ。 今日も着てんのかな?思いながらチラッと富田の服をチェックした。 「何これ?」 「カットソー」 「あーサンキュ」 それから、富田と他愛もない話しをしながら飲んだ。 高そうなヴィンテージのデニム履きこなしてんなーとか。 あー、やっぱ靴下はその色持ってきちゃう?とか。 このTシャツ…プリントのぼかし具合最高だなーとか。 やっぱ、服にばっか目が行く あたし。 .
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