唇の温度

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一般女子が見たら…この顔、堪んないんだろーな。 キスする前…こんな感じだったっけ。 あぁ…もう忘れちゃったなー。 最後にしたのは…アイツ…だったな。 そんな事を、もう随分アルコールの入った頭でぼんやり考えた。 頬っぺたに触れてる手の親指が、唇の端の溢れたビールを拭う。 あぁ…拭いてくれたのか、サンキュ。 そんな軽い感じで、あたしは笑った。 「富田、色気出しすぎっ…アハハッ」 「お前…ムードぶち壊し…」 眉間にシワを寄せて、苦笑いした富田。 「…ハハハッ…ムードもへったくれも…ンッ…」 ゛ないでしょ ″ あたしの言葉は 富田の唇に掻き消された。 .
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