違い

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「終わったよ、痛くなかった?」 「うん、痛くなかった…」 「それは良かった。あとは…親知らずか、ちょっともう一度見せて」 言いながら、左の奥歯を覗き込む。 男の人にしては珍しい、くっきりした二重の瞼に長い睫毛、少しだけ垂れた目は優しい表情に見える。 マスクに隠れた鼻と口…あぁどんな顔だったっけ。 そんな事を考えながら見ていた。 「そんなに見つめられると照れるんだけどな」 目の前にある顔は、目を少し細めて笑った。 「あぁ、ごめん…つい…」 どんな顔だったか思い出してました、なんて言えない。 「つい…か、じゃあ…僕も つい…」 え? あー、そう、この顔。 妙に整ってて、絵に書いたよーな誠実な笑顔。 「…ンッ…」 さっきマスクを外した彼は、今あたしの唇にキスをしてる。 彼としたキスはミントの味がした。 .
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