違い

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「まこちゃん…ごめん」 ゆっくりと離れた唇があたしに謝る。 「うん…」 ここは診察室の中な訳で、誰かに見られたりしたら、この歯医者の評判大丈夫か? ふと思いながら、周りを見渡した。 「大丈夫、うちの病院7時までだから。まこちゃんが最後の患者さん」 あぁ、そっか。そーゆー事ね。 「このあと…ご飯でも行く?」 特に予定はない、けど、ご飯なんか行ったらキスよりもっと先に…… なんて自意識過剰な事を考える。 「うん…行こっかな」 なんでか解らないけど、キスの最中 富田の顔が浮かんで、あの夜のキスを思い出した。 さっきのキスは、あたしの唇の温度をこれっぽっちも上げてはくれなかった。 .
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