違い

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「今すぐ返事して、とは言わないけど…」 ハンドルにあった手が、あたしの左の頬っぺたを撫でる。 あぁ…赤信号で止まったんだ、そんな事をぼんやり考えて。 「まこちゃんに、ちゃんと僕の事を知って欲しい」 「うん…」 「その ゛うん ″ は、付き合うって事?それとも…友達からって事?」 少し目を細めて、優しい眼差しで笑った。 「……友達からで」 「そっか、残念だ。でも頑張るよ、まこちゃんに僕の事を見てもらえるように」 後ろから鳴らされたクラクションで、頬っぺたにあった手は離れていった。 そのあと走り出した車の中は沈黙になって、あたしはただ窓の外の流れる景色を見ていた。 恋愛の仕方を忘れたあたし。 昔はこんな時、どうやってたんだっけ。 もう少し可愛いげのある言葉言えないの? せっかく好意を持ってくれても、こんなんじゃ上手く行く筈がない。 あたしが男だったら…あたしみたいな女は勘弁だ。 .
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