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はぁ…何やってんだろ…あたし。
「…何やってんの」
「わぁっ!!」
いきなり現れた富田にびっくりして、手にしたバッグを放り投げた。
放物線を描いて飛んで行ったバッグは、2メートルくらい先でポスリと音を立てて落ちる。
「ちょっと!!びっくりさせないでよっ!!」
慌ててバッグの所まで走って、拾い上げながら富田を睨んだ。
「お前さぁ…」
はぁ、と、深く溜め息を吐く富田に、あたしは眉間にシワを寄せる。
「こんなとこでキスなんかしてんなよ…」
「だっ、あれはっ、見てたのっ!?」
「あー、全部見た。車から降りて来て見つめ合ってるとこも、抱き締めてられてるとこも、すっげー舌絡ませてキスしてるとこも、な」
「…っ…!!」
最悪だ…。
「あれ、噂の歯医者だろ?」
「なっ…んで、あんたが知ってんの!!」
「あ?中川に聞いたから」
おしゃべり和美め!!
「てかっ、あんたがなんでこんなとこに居んの」
「あー、せっかく金曜だし?お前ヒマしてんだろーなーと思って飲みに来た」
富田は、持ってるビニール袋をあたしの目の前に差し出した。
「それはそれはどーも。だけど、あたし忙しいから」
富田に背中を向けて、マンションの中へ歩き出す。
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