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少し酔いの回った頭で、30センチもない距離の富田の顔をぼんやり眺めた。 「お前、何 見つめてんの」 「見つめてないから」 「なー、キス…してい?」 「はっ!?バカじゃないのっ!!」 「こないだ したじゃん」 「血迷った?」 「あ?」 「だーからー、女居なさ過ぎて、血迷った?」 「あー、そーかも」 「もー、どいて」 「なぁ…歯医者の事、好きなの?」 「もー、しつこい!!いーから、どいて!!」 「答えろ」 一瞬、富田の顔が険しくなった。 あたしはただ、訳の解らないこの態勢から逃れたくて口を開く。 「あー、好き。顔も良いし、お金持ってるし、歯医者だし。とにかく、好き!!これでいーでしょ」 言い切った後、なぜか後悔した。 だって、下から見た富田の顔が悲しそうな顔だったから。 .
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