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大きく息を吸い込んで、口から白い煙を吐くと、ほのかに鼻先を掠めるオイルの香り。 薄暗い部屋の中で、さっきまでの情事を思い出す。 唇を重ねた後、力任せに襲った富田。 何かを思い出したように あたしを抱き上げてベッドに置いた後、電気を消しに行った 富田の後ろ姿を、あたしはベッドの上からぼんやりと眺めた。 愛なんてない筈なのに、それは富田の優しいキスから始まった。 もう随分してないせいで、やり方なんて忘れてしまったと思ってたけど、いざ始まってみると、そんな事はなかった。 繋がった身体を揺らされる度に、自分でも聞いた事もない声で鳴かされて。 その瞳が、その唇が、その指先があたしに触れる度に、あたしの身体の奥深い場所から何かが疼くのを感じた。 チカチカするテレビの灯りの中、何度も身体を重ねて、唇が腫れる程キスをした。 .
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