偶然

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さっさとランチを済ませた後、喫煙室で休憩時間の半分を過ごす 至福の時間。 深く吸い込んだ後、口から白い煙を吐く。 どこに行っても ゛禁煙 ″ の文字。 おまけに、吸う場所まで指定されて。 てか、こっちはどんだけ税金払ってると思ってんだよ。 日に日に 喫煙者の肩身が狭くなる事に苛立つこの頃。 「お疲れさん」 「あぁ…富田 お疲れ」 「どーした?元気ねーじゃん」 「まぁね。サンプルがなかなか進まなくて」 「はぁ?またお前がケチばっか付けてんだろ?」 「は?人聞き悪い事言わないでくれる?こっちは妥協したくないからっ「はいはい」 「解ってるって、お前の言いたい事」 ちょっとムキになった あたしの言葉を遮ったのは、これまた同僚の富田。 ブランドは違えど、同じデザイナー。 でも、コイツはちゃんとデザイン学校を卒業してから就職。 会社歴はあたしのが先輩だけど、腕は多分…悔しいけど富田には敵わない。 「いんじゃねーの?お前のそーゆーとこ。絶対に妥協しないのって、そんだけ服が好きって事だろ?」 「うん…まぁ…そんなとこ」 「はいはい、そんな暗い顔しない。そんな顔してるから、いつになっても男が出来ないんだよ…ハハハッ」 「うっさい!!富田に言われたくない」 .
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