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「や、ダメだから、薬とビール。お前ホントにバカだな…ハハハッ」
富田は笑いながら、缶ビールをごくごくと流し込む。
ズキンズキンする痛みと戦いながら、あたしは富田の喉仏を見ていた。
多分、今日はシてない。
だって、あたしの服がどこも乱れてなかったから。
シた後、すぐに服を着ようとするあたしに、富田は必ず
『着なくていい』
そう言って、裸のまま抱き寄せて眠りにつく。
あたしはいつも、富田が眠りについてからベッドを抜け出して服を着る。
今までの日常と違うのは、Sexの回数が増えた事。
本来なら、愛し合う行為の筈のそれを、あたしと富田は ただの性欲の捌け口みたいに身体を重ねる。
身体を重ねてる間は、なぜか自分の男に抱かれてるような錯覚を起こす程、富田は甘い時間をくれる。
そこに愛なんてないと、もちろん解っている、けど終わった後、無性に虚しくなる時がある。
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