日常

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明け方に目が覚めて、ベッドから抜け出して、煙草を吸った。 もう一つ、あたしの日常に加わった事。 それは、富田と居る時だけ 富田のジッポで煙草を吸う事。 下着姿のままベッドで眠ってる、その顔を眺めた。 切れ長の目、形の良い高い鼻、丁度良い厚さの唇に、シャープな輪郭。 たまに、その寝顔を見てると、どーしてこんな綺麗な顔をしているんだろう、と見入ってしまう時がある。 「ん……」 寝返りを打った富田が、こちらを向いてうっすらと瞼を開けた。 「……まこ」 ふとした時だけ、あたしの事を ゛まこ ″ そう呼ぶようになった。 「何?」 ベッドから手を伸ばして、あたしをじっと見る富田。 「煙草吸ってんの」 起き上がった富田は、あたしの口から煙草を取り上げて 灰皿に擦り付けると、あたしの手を引いてベッドに戻った。 「歯は?」 「もー痛くない」 何も言わずに唇を奪った後、カーテンの隙間から入る朝日の中、身体を重ねた。 一生懸命仕事をして、浴びる程アルコールを飲んで、1日1箱の煙草を吸って、彼氏でもない男とSexをする。 これが 28歳のあたしのリアルな日常。 .
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