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「まーこ、富田に連れて帰ってもらえば?電話しよーか?」
あー、やっぱテキーラ飲まなきゃ良かった。
気持ち悪っ。
「いー、歩いて帰る」
「だって、まこ、真っ直ぐ歩けてないじゃん」
「ハハハーたまにはいーの!!じゃーねー」
「まこー!!なんかあったら電話しなよー」
和美の声に思いっきり右手を上げて手を振った。
残暑の夜中、酔って真っ直ぐ歩けないあたしは、タクシーを探して大通りを一人ヨロヨロと歩く。
「あー、夜風、気持ちいー」
真っ暗な星一つない空に向かって両手を投げ出して、空を仰いだ。
男か…。
最近、留守電に入ってた母親の声。
『まこ?元気にしてるの?たまには顔出しに来なさいよ。まこと同級生の佐伯さん家のお嬢さん、覚えてる?あの子が赤ちゃん産んだのよ』
『あんたも将来の事、ちゃんと考えてるの?子供産めるのは若いうちじゃ』
そこまで聞いて、留守電を削除した。
親を安心させる為に、結婚すんの?
子供産む為に男とSexするの?
だったら、あたしは…一生一人でいい。
愛だの恋だのなんて、全然 甘くなんかない。
ただ、苦しくて、無性に恋しくて、不意に泣きたくなるだけ。
だったら、そんな感情…あたしはいらない。
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