確信

8/20
前へ
/340ページ
次へ
大通りを走るタクシーを、もう何台も見送って、歩き続けた。 気が付いたら、あたしの足は なぜか富田のマンションを通る道を選んでた。 あの角を曲がれば 偶然会うかもしれない。 もし会ったら…あの日、叩いてしまった事をちゃんと謝ろう。 角を曲がると、静まり返った道路。 「居る訳ないかー 」 携帯のデジタル時計は 深夜2:22分を示して。 ゾロ目だ…なんかいー事あったりして? そんなバカみたいな事を考えながら、富田のマンションの前を通過する。 見上げた富田の部屋には、灯りは点いてなかった。 ゛…由、今日はありがとうね ″ 後ろから聞こえた ゛由 ″ の言葉に振り返った。 マンションから出て来た、富田と 知らない綺麗な女。 あー、そっか、そっか。 新しい玩具…見付けたんだ。 ならさー、言ってくれれば良かったのに。 ねー、富田、この関係に名前はきっとないけど。 バイバイくらい ちゃんと しよーよ。 さすがのあたしでも、ちょっと、心が痛いみたい。 .
/340ページ

最初のコメントを投稿しよう!

14218人が本棚に入れています
本棚に追加