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「まこさーん、コラボの件で富田さんが会議室にいらしてます」
あぁ、そっか。
どんなに顔を合わせたくなくても、嫌でも会ってしまう同じ会社。
あたしは大きな溜め息を吐いて、富田の待つ会議室に向かった。
扉を開ける前、ゆっくりと深呼吸する。
よしっ、笑顔!!
「お疲れー」
ドアを開けながら、笑顔を貼り付けた。
「お疲れ」
少し低い声、富田の機嫌が悪い事を知らせていた。
゛free ″ の完売記録。
会社の全ブランドの中で、トップを走る富田のブランド。
周りからの期待も大きい分、デザイナーは常にプレッシャーと戦ってる。
きっと、富田も その1人に違いない。
少し疲れてる その顔に、あたしは出来るだけ明るい声で声を掛けた。
「コラボの企画聞いた? ゛darling ″と、富田のブランドのダブルネームの話し」
「あー、社長から聞いた。お前がデザインすんだろ?もうイメージは湧いてんの?」
「あー。゛free ″のイメージもあるから、富田の意見も参考にしてデザインに入ろーと思ってる」
正直、それどころじゃなかった。
あの日、自分の気持ちに気が付いてから、仕事も、私生活も全然うまくいってない。
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