確信

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「彼の服を着る彼女…か、なー、お前は男の服着た事あんの?」 「や、さすがに着て出掛けたりはしなかったけど、ちょっとコンビニまで…とか?」 会議室の大きなテーブル越しに座って、久しぶりに富田のその瞳を見た気がした。 「そん時、何着た?」 「シャツとか…夏だったらTシャツとか、かな」 「ふーん…。デニムとかは?」 「や、サイズ合わないでしょ」 「あー、そっか。でも、男が細身のヤツなら合うのか…。なー、お前、夜 時間ある?」 富田の ゛夜 ″ その言葉に一瞬、ドキッと胸が高鳴った。 何考えてんだ…あたし。 「あ…るけど…」 「今日は歯医者とデートじゃねーのか…じゃ、酒でも飲みながら考えるか」 富田は、あたしが遥君と付き合ってると思ってるのだろうか? 違う、付き合ってない、そう言ったら…何かが変わる? 「うん…わかった…」 「よし、7時に いつもの店な」 立ち上がった富田が、横を通った時、いつものとは違う香水の匂いがした。 あの匂い…好きだったのに。 誰も居なくなった会議室で、ぼんやりとそんな事を考えてた。 .
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