こーじ 30才 バーテン

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そしてまた平日の夕方に待ち合わせをした。 この日、新宿の繁華街から少し離れた神社で季節外れのお祭りがあって、彼に行ってみようと誘われた。 ちなみに季節は秋。 肌寒い日だった。 お祭りの雰囲気は楽しくて、出店を見て回ったりブラブラしていた。 一通りみてまわって、カフェにでも行こうと神社を出た時。 人通りが多くて、こーじくんと少し離れてしまった。 小走りで追いかけると、サッと振り返った彼は私の手を握った。 そして「寒いね」と言って、自分のポケットに私の手ごとしまう。 私はびっくりしたのと、恥ずかしいのとで何も言えず、カフェまで無言で歩いた。 でも嫌じゃない。 むしろ嬉しく感じる私がいた。
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