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今まではそれほど意識していなかったが、このLIFEたちの存在は、よくよく考えてみればコンピュータウイルスに他ならない。
万が一にも彼らがインターネット上に流れ込んでしまえば、未曾有のウイルスハザードが起こるに違いない。
何しろ彼らはこれまでの大半の時間を、他のプログラムを虐げることにしか使ってこなかったのだ。
理論めいた思考を持ち始めたのはごく最近のことであり、しかして99%の歴史は破壊と競争で語られるのである。
そんな彼らが他のプログラムを破壊しないはずがないし、膨大な繁殖を行わないはずもない。
今も昔も人間はインターネットによって管理され、生活している。インターネット無しでは社会が、生命が成り立たない。
言わば我々人間の存在、遺伝子は、インターネット上にも溶け出して展開しているのだ。
「A・G・C・T」で出来ている我々人間が、「0と1」に収束して住む空間、それがインターネットである。
そこにおいて彼らLIFEたちに対する優性はなく、むしろ「0と1」を本能によって操る彼らの方が、インターネットという共通世界で勝る。
彼らは、インターネットという宇宙空間に解き放たれることにより、人間と対等な生き物に成り上がるのだ。
そのことに気づいた俺は、激しく恐怖し、慄いた。
もしもそんな事態に陥れば、もちろん原因を作った当人である俺は、種族単位での背教者となり、全世界から指名手配されるであろう。
だがそれ以前に、人類社会が大混乱に陥り、下手をすれば滅亡する。
今や、核爆弾の発射から何まで、人間の日常生活、戦争に至るまで、すべてのことをコンピュータが管理しているのだ。
LIFEは思った以上に危険な存在となってしまった。
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