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やはり、こいつらには教えすぎたようだ。
俺は自分の過ちを振り返り、再びゾッとした。
どうやら、どこかで道を大きく誤ったらしい。
まずは、フォルダの外に漏れたLIFEたちを駆逐せねばならない。
LIFEを識別するソフトを作り、ハードディスク全体(人工生命のフォルダを除く)を検索にかけた。
結果、100余りのLIFEが検出されたのだから恐ろしい話だ。
こいつらは、フォルダの外に出てからはひたすらインターネットへの突破を試みていた。
そのお陰で俺は命拾いをした、ということに気がつくのに、そう時間はかからなかった。
つまり、もしもこいつらがインターネットへの道を諦めて、ここで増殖を始めたとしたら、今頃このパソコンのハードディスクはLIFEに占領されていたはずなのだ。
再び嫌な汗が出たことに苦笑しながら、俺はこいつらを駆逐した。
見つけてしまえば削除は容易い。見つけると同時に1つの隔離フォルダにぶち込んだら、今度はフォルダごと削除してしまえばいいのだ。
ここらへんの過程は、ウイルス対策のセキュリティソフトを参考に行った。
再び検索をかけてLIFEの残党が居ないことを確認した俺は、ホッと胸を撫で下ろした。
が、ここで異変に気づいた。
「該当ファイル・・・0件」
と表示された横に、妙な一文を見つけたのだ。
「関連ファイル・・・1件」
何が一体どうやって、LIFEと関連しているのか。
まずはファイル名、そしてその拡張子を確認せねばなるまい。
震える指が、「関連ファイル」をクリックした。
――『to-god.txt』
そこには、そう表示されていた。
神・・・様へ?
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