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俺への手紙なのだろうか。
テキスト形式ならば、罠ということもあるまい。「.txt」は実行してもまず危害は及ぼさない。
俺は安心してそのファイルを開くことにした。
それにしても、to-godとは何事か。
フォルダ内にいるLIFEたちは、もちろんのこと英語や日本語なんて使えない。
彼らの言葉を、俺のプログラムが翻訳して人間の言葉に表示しているに過ぎない。
つまり奴らは、フォルダ外に出たあの短時間で、我々人間の言語体系をある程度吸収した、ということなのか。
こんな相手をよくも無事にやり過ごしたものだ、と、再び思い返した俺は、生きた心地がしなかった。
一呼吸おいて、ファイルを開いてみた。
そのテキストファイルには、ただ次の一文が記録されているだけだった。
驚くほど素直な、一文。
『 want live 』
・・・生きたい、か。
LIFE、生命と名づけられたそのプログラムは、最後に生命を望んだ。
俺はこのとき初めて、LIFEの中に『心』を感じた。
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