銀の鱗

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「ここ最近毎日ゴミが落ちてると思ったが、その中に生きた魚も混じっておるではないか! 無駄な殺生をするなど、生類への冒涜!」 なんだか、義父のいつぞやの台詞と重なって、不愉快になった。 「あのねー、ゲームフィッシングって知らない? 今はリリース(再放流)すると場所によっちゃ白い目で見られるのよ」 「げえむ?りりいす…?」 きょとんとした顔で少年は俺を見ているもんだから、頭痛がしてきた。 「とにかく、ここは俺様の気に入ってる場所だから。邪魔しないでおくんな」 というより、この少年はこの池に何をしにきたのだろうか。 今日は土曜日だし、学校が休みなら街のゲーセンとかカラオケとか、他に遊ぶ場所があるだろうに。 俺のように釣りをしに来たわけでもなく、ただ俺の顔を眺めている。 「ちょっと、いつまでも近くに居たら気散るでしょーがっ」 「あ、ああ…すまない…」
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