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「では、某は失礼致す」
(それがし!?何時代の人間よ!)
歴史オタクってやつか、と内心爆笑する。
少年が池から立ち去ろうとした時に、彼の後ろ姿を見て。
「……………!」
結われた長い後ろ髪がまるで女みたいで。
何だか、守ってあげたくなるような小さな背中で。
でも、それ以上に…
今彼が帰ったら、彼とは二度と会えないんじゃないか、とか。
俺は後悔するんじゃないか、とか。
意味の分からない感情がぶわっと胸を覆い尽くして、
心臓が一秒くらい、止まった気がした。
(……って…何考えてんの俺様!…俺様はストレート!ノンケ!有り得ないって!)
ブンブンと首を横に振って、自分の言動のベタさに一人恥ずかしくなる。
腹が減ったし、日も傾いてきたので帰ることにした。
「夕飯は何にしようかねぇ…」
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