36人が本棚に入れています
本棚に追加
忍だって人間だ。
今自分が致命傷を負ってる事くらい知っていた。
一歩進むごとに、割れた茶碗から水が漏れているかのように血を失った。
でも、自分の主…
「真田の旦那」こと
真田源二郎幸村に会うまでは死ねないと思った。
それまでの時間生きる事が使命だと。
結局旦那は半里ほど離れた、岩場に倒れていた。
「…っ…さ…、…す…」
見たくなかった。
旦那の顔は見たかったけど、こんなに変わり果てた姿は見たくなかった。
旦那は鉄砲で胸を撃たれていた。
顔面は蒼白で、血まみれの唇が何度も震えて、俺の名前を紡ごうと動く。
「……さ…す…け…」
最初のコメントを投稿しよう!