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教室に入るとさっそく、
「おう、森田!朝のコーヒー買ってきて!」
「俺、フルーツオレな!」
と、俺を呼ぶ声が。みんな、俺の事大好きだなぁ。
いつもなら笑顔でハイ!と言っている俺だが、今日は違うんだぜ。
俺は鞄を自分の机に置き、
「嫌だね。自分で行って来いよ。行くならついでに俺もジュース飲みたいからさ、買ってきてくれよ」
と、つっけんどんに言い放ってやった。
ンギモッヂイイィィ!!今までどんなにこの台詞を言いたかったか…!!
俺が喜びに打ちひしがれている横で、ヤンキーくんたちはポカン、と口を開けて、あんぐりしている。
無理もない。昨日まではヘタレの森田だったんだから。
「おいこら森田!オメー、下っ端だろうが!!俺らにそんな口聞いていいと思ってんのか!?」
すると一番に反応したバカ岡が物凄い勢いで俺に詰め寄ってきた。
やはりバカ岡が一番に釣れると思っていたよ。
俺はにっこり笑顔で、バカ岡の言葉にうん、と頷く。
「ああ、いいと思ってるぞ?」
「な、なんだと?オメー…へタレのくせに!!」
「どうかな?お前らが知ってる昨日までのへタレ森田は死んだ。今日からはヤサグレ森田だ、よろしくな」
「てんめえええ意味わかんねぇぞくそ森田ァァア!!」
短気なバカ岡は間髪入れずに俺に殴りかかってこようとした。
しかし、殴りかかってくるスピードはかなり遅い。俺は余裕で、バカ岡の腕をガシリ、と掴む。
そしてその腕を上に捻り上げてやると、バカ岡は痛かったのだろう、呻き声を漏らした。
「いって…ぇ…!!もり…たっ!!」
「あ、ごめん」
ふむ、前から思っていたが、やっぱりバカ岡はあまり強い方じゃないな。これでは弱い者いじめになってしまう。
慌てて俺はバカ岡から手を離す。離すと、バカ岡がキッと俺を睨み付けてきた。
「なんだよ、なんなんだよ、お前!意味わかんねぇよ!!」
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