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「…あ?なんだ、テメーら…」
樋口は教室内に漂う異様な雰囲気に気付いたのだろうか、足を止めて俺たちに顔を向ける。
「樋口君、森田のやつが…むぐ」
おっと!俺は、樋口に告げ口しようとしたバカ岡の口を手で塞ぐ。
先にネタばらしされては面白くない。
いつもどこでもどんな時もクールなあの樋口の驚く顔を見れるかもしれないチャンスなのに。
俺に口を塞がれているバカ岡が、んーんーと唸っている。面白い。
俺はバカ岡の口を塞いだまま、樋口に顔を向けた。
「あのさ、樋口」
俺がそう言うと、樋口はぴくりと眉を動かし、俺に視線を向ける。
いや、さすがに樋口グループのボスだ。バカ岡とは違って、なんだか貫禄があるなぁ。
下っ端パシリだった俺に違和感は感じているだろうが、落ち着いている。
「ああ?…なんだ?」
「俺の下につく気はない?森田グループに入ってくれよ。今、俺と花岡だけなんだ」
「むぐ!?むうー!!」
俺の森田グループ発言に、黙っていたバカ岡が再びむぐむぐ唸りだした。
お前ちょっと大人しくしてろ。
「無ェな」
しかし即答で言い放つ樋口。そして自分の席にさっさと行ってしまう樋口。
ですよねー!
だめもとで聞いてみたが、やっぱりだよ…。
しかし出来る事なら暴力は避けたい。
そういえば今気付いたが、俺って樋口とまともな会話をした事がないな…。
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