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バカ岡とじゃれ合うのは結構楽しい。しかし、そろそろ本題に入らねば。
本題というのは、この学園の派閥事情だ。この学校の王様になるためにはある程度の事は、知っておかないと。
要注意人物とかな。
「ところで花岡」
「んあ?」
ジャムパンを平らげたバカ岡がむぐむぐと口を動かしながら、首をこてんと傾げてみせてきた。
俺は身体ごとバカ岡に向き、真剣な表情で尋ねてみる。
「この学校のさ、対立関係ってどうなってるんだ?ほら、要注意人物とか」
「そんな事も知らねぇのか!?オメー今まで学校で何やってたんだよ!?…まっ、仕方ねぇからこの俺様が教えてやるぜ!」
何故か怒られた。そしてなんだかバカ岡は得意げに俺に説明しだす。
なんでそんなに得意げになれるんだろう…。ヤンキーって分からないぜ。
「同学年だったら、今目立ってんのは清之水のグループとか…あとは、真鍋グループだな!3年は―――…」
バカのくせに物覚えがいいなと驚くくらいに、バカ岡は自慢げにペラペラと話した。
ちょ、ちょっと待て。聞いてみたはいいが、そんな膨大な情報量、頭の悪い俺には覚えきれそうもない。
まぁ、覚えなくても一個一個潰していけばいいか…。
「1年で勢いのあるのが―――…」
「花岡、やっぱりもういいや。覚えられそうにない」
バカ岡の言葉を遮り俺がそう言うと、バカ岡はむきーと怒りを露わにさせた。
「なっ、なんだと!?じゃあ聞くんじゃねぇよっ!!あほ森田!」
俺が肩を竦めれば、バカ岡はつまらなさそうに舌打ちを漏らす。
ああ、そうだ。もう一つ聞きたい事が…。
「同じ学年の金髪でバンダナしてる奴って…名前なんだっけ?」
「ああ、三島か?あいつは格闘技やってるから喧嘩強ぇけど、一匹狼だからな。関係ねぇよ」
「そうか…」
三島っていうのか…。やっぱり強いんだな。覚えておこう。
俺が一人で深く頷いていると、バカ岡は不思議そうに俺を見ている。
その視線に気付いた俺は、ん?とバカ岡に首を傾げてみせた。
「花岡、どうした?」
「いや…オメー、対立関係とか、何でそんな事聞くんだ?」
「王様になろうと思ってな」
「はあ?王様ァ!?」
素っ頓狂な声を上げるバカ岡に対し、俺は笑顔を向ける。
「ああ、この学校の王様になるんだ」
と、満面の笑みで言ったらバカ岡に爆笑された。
もちろんこの後、俺がバカ岡に一発げんこつを入れてやったのは言うまでもない事だろう。
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