キングの目覚め

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「おい森田ァ!焼きそばパン買ってこいよ!」 「あ~森田、俺、イチゴミルクな」   そんな声が教室中に響き渡った。派手なヤンキーたちが、おい森田やれ森田と、森田をパシリに使っているようだ。   そう、俺の事だ。俺は森田。派手なヤンキーくんたちのパシリだ。   俺は小さい頃から空手を習っているので弱いわけではない。むしろかなりデキる男だ、と自分では思っている。   しかし、ここは近所でも有名な、通う学生の9割がヤンキーのヤンキー学校なのだ。 喧嘩は日常茶飯事のこと、最低でも窓ガラスは日に10枚は割られる。そんなDQN学校。   もちろん俺はヤンキーでもない。ただ、あまり頭がよろしくなく、合格した学校がこの学校しかなかったのだ…。   そして空手もやってる俺が、何故ヤンキーのパシリをしているのかと言うと、俺には夢がある。 それは大学進学。夢のキャンパスライフ!   しかしその夢を叶えるには、この学校で当たり障りなく過ごすしか他ないのだ。 下手にヤンキーと喧嘩して目立ちでもしたら毎日喧嘩三昧になってしまい、先生たちからも嫌われてしまう。そうなったら俺は頭も良くないし、大学進学はまず不可能になるだろう。   故に俺は、ヘタレキャラとなって自分を隠しているのだ。   「はーい!了解ッス~!」   こんな感じにな。
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