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それはそうと、話を戻そう。バカ岡が言うには、先に樋口にコーヒーを持っていけ、という事らしい。
ヤンキーのくせに上下関係はしっかりしているな…。
「樋口君は俺たちより強ぇからな。俺たちよりも樋口君を優先しろ!」
とか言いつつも、バカ岡はもさもさとメロンパンを頬張っている。言ってる事とやってる事が矛盾してるだろ…。
内心思いつつも俺は言い返す事はしない。
「サーセン!勉強になりました、バカおk…花岡くん!」
「…今なんつった!?」
「いえ、何でもないッス!」
俺はバカ岡をそのままスルーして、樋口の元に歩を進めた。
すると、俺の存在に気付いた樋口は、視線だけを俺に向ける。
中々に鋭い眼光だ。この男…デキる…!!多分。
「あっ、樋口くん、コーヒーです!どうぞ!」
俺はニコニコ笑顔で、缶コーヒーを樋口の机の上にコトン、と置く。
樋口は欠伸を漏らしながら、
「あ?ああ…」
ポケットから財布を取り出し、小銭を俺に渡してきた。
ん?俺は意味が理解出来ず、首を傾げる。
「なんすか…?この金…」
「何って、コーヒー代。弱い奴から金巻き上げる趣味ねぇよ」
うほっ、いい男…。
しかしそれだったらパシリに使うのもやめていただきたいもんだ。
「あ…ありがとうございます…」
樋口は俺との会話がわずらわしいのか、俺から顔を背けて缶コーヒーを口に付けた。
さっきの台詞、バカ岡に言ってやってくれ。あいつ、俺から金巻き上げまくってるから。
大学進学が決まったら、まず手始めにバカ岡をボッコボコにしてやんよ。
「おーい、森田!!3DS買ってこいよ!!」
訂正する、バカ岡殺す。
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