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「…………」
「…………は?」
朝起きると、俺の部屋で見知らぬ男が漫画を読んでいた。
絨毯の上にあぐらをかいている二十歳位の男は、真剣な顔で漫画を食い入るように見つめている。
何コレ?
つか……誰?
驚くタイミングを失った俺は、しばらく男を黙って見つめる。
すると俺が起きたのに気付いた男が、漫画から顔を上げた。
格好良い、と言えなくもない人だ。
なんとなく、どこかで見た事が有る気がした。
「あんた、…誰?」
「ん?あ、そうか。そういや分からなかったな」
意味の分からない事を呟いて、男は俺と向き合うように座り直した。
「俺は、お前。二十歳のお前だ」
「…………………は?」
そんなコンビニでアイス買ってきたぞ、みたいなテンションで言われても、理解出来ない物は理解出来ない。
俺?二十歳?
何言うてはりますのん?
「お前の5年後のお前だ。今高校入った所だろ?ちょっと助言があってな、タイムマシンで来た」
「…はぁ、タイムマシン…ねぇ」
「……信じてねぇだろ?当然だ、俺も5年前信じなかったからな」
そりゃそうだ。いきなりタイムマシンと言われても、即『あ、そうなんですか。』なんて理解出来る奴は、多分おかしい奴だ。
「だが俺も抜かりはない。これが証拠だ」
ぼけっと布団から出もせずに聞いていた俺の前に、男はさっきまで読んでいた漫画を軽く投げた。
漫画?これがなんだって…、と思っていた俺はそれを持ち、ひっくり返して表紙を見て驚愕した。
「ワン○ース90巻!?」
「どーだ、読みてぇだろ」
「すげー!!」
俺はあっさりと信じた。
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