奇跡の日

2/12
前へ
/12ページ
次へ
「…………」 「…………は?」 朝起きると、俺の部屋で見知らぬ男が漫画を読んでいた。 絨毯の上にあぐらをかいている二十歳位の男は、真剣な顔で漫画を食い入るように見つめている。 何コレ? つか……誰? 驚くタイミングを失った俺は、しばらく男を黙って見つめる。 すると俺が起きたのに気付いた男が、漫画から顔を上げた。 格好良い、と言えなくもない人だ。 なんとなく、どこかで見た事が有る気がした。 「あんた、…誰?」 「ん?あ、そうか。そういや分からなかったな」 意味の分からない事を呟いて、男は俺と向き合うように座り直した。 「俺は、お前。二十歳のお前だ」 「…………………は?」 そんなコンビニでアイス買ってきたぞ、みたいなテンションで言われても、理解出来ない物は理解出来ない。 俺?二十歳? 何言うてはりますのん? 「お前の5年後のお前だ。今高校入った所だろ?ちょっと助言があってな、タイムマシンで来た」 「…はぁ、タイムマシン…ねぇ」 「……信じてねぇだろ?当然だ、俺も5年前信じなかったからな」 そりゃそうだ。いきなりタイムマシンと言われても、即『あ、そうなんですか。』なんて理解出来る奴は、多分おかしい奴だ。 「だが俺も抜かりはない。これが証拠だ」 ぼけっと布団から出もせずに聞いていた俺の前に、男はさっきまで読んでいた漫画を軽く投げた。 漫画?これがなんだって…、と思っていた俺はそれを持ち、ひっくり返して表紙を見て驚愕した。 「ワン○ース90巻!?」 「どーだ、読みてぇだろ」 「すげー!!」 俺はあっさりと信じた。
/12ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6人が本棚に入れています
本棚に追加