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「雅美‥‥逃げなさい」
苦しそうな声。
雅美は慌てて寝室の扉を開けた。
とたん、黒い何かが飛び出してきて雅美を床に押し倒した。
倒れた衝撃で頭を打つ。
「痛っ‥‥」
起き上がろうとする雅美の耳元で、唸り声が聞こえた。
《グルルルル‥‥》
鼻に生臭いにおいがつく。
(人…じゃない…じゃあ何?)
その時、月明かりに照らされて雅美の上にのしかかっていたものがハッキリと見えた。
今まで、見たことがない。
牙の鋭い獣だ。
そいつが、喉元に食い付こうと口を開けていた。
しかし、雅美の姿を確認するや獣は慌てたように飛び退いたのだ。
そして窓を突き破って逃走していった。
しばらく呆然としていた雅美だったが、ハッと我に返って両親の元へ。
血だらけだったので救急車を呼んだ。
数分後、遠くから聞こえるサイレンの音を聞きながら雅美は先程の獣を思い返していた。
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