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『で、本題に戻るけれど、僕は君に殺されればいいんだよね?海とか空とか遠い言い回ししないでよ。焦れったいなぁ。』
ゆらゆらと左右に揺れながら海はナイフの先を楽しそうに眺める。
一人は嫌だ。と、僕は言ったけれど人は一人で生きて勝手に死ぬんだよね。
本質を言うと、人は最初から最後まで一人で何が寂しいのか、虚しいのか…それを何かで埋めようとしてるんだよね。
つまり、それは愛でも憎しみでも悲しみでも良いわけだよ。
だって埋めるだけだもの。
他の用途はどうでもいい。
埋まりさえすれば、なんでも良いんだよ。
実際に僕は彼方という虚無感を埋めるために誰かも分からない…確信もない、人殺しを恨んだ。
虚無感は憎しみで埋まった。
つまり、彼はまだそれを埋めていない。
だから、不安定で歪でガタガタだ。
それを、僕が埋め直しても何の問題もないよね?
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