0-1 孤立、異変、邂逅

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暗い、何処までも暗い砂漠の夜を酷く不恰好な飛行機が低速で南に向かって飛んでいた。 見た目はのんびりとした飛行だが、彼らはあるトラブルに見舞われていた。 「機長、燃料が後僅かです。このままでは墜落します。」 「解ってる。リビッキー!まだ通信は回復しないのか?」 リビッキーと呼ばれた兵士は顔を機長であるマコビック中尉に向ける。 「ダメです、思い付くだけの周波数は試したのですが…」 「レーダーもGPS もイカれてる…一体何が起こってやがんだ?クソ!」  従軍経験豊富ななマコビック中尉に悪態をつかせる程のトラブルである。 彼らの乗るMV-22ⅡオスプレイⅡ海兵隊仕様は墜落事故を起こし続けて欠陥機とされたV-22オスプレイの改良型であり、二重反転ローターや安定性向上の為主翼の延長、更にエンジンや兵員室の防弾装備の強化を施しており、高い実用性を手に入れている。 今回の任務は海兵隊の一個分隊を載せて彼らのアフガニスタン東部での夜間襲撃作戦を支援するという内容だった。
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