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ここは《カガナック》という町みたいだ。
路上には、一応、野菜やらなんやら売っているが、近くに農具やナイフを持っている者がいる。 まぁ、こんな時代に露店なんかやるなら泥棒や強盗を用心する必要がある。
「ちょっとー・・・待ちなさいよー・・・」
振り返ると、家の壁にもたれながら俺の後をついて来るステラは、相変わらずヘロヘロだ。
「何で宿屋が無いのよー・・・!」
無理もない。 そもそも、こういう集落は、他人を招き入れるのを嫌がる。 宿屋無いのは当たり前だし、露店があるだけマシな方だ。
「俺は、宿を探すと言ったが、宿屋を探すとは言って無いぞ」
「じゃあ、どこで休むのよ!」
「どこでもいいさ。 姫様は豪華なベッドじゃないと寝れないか?」
「舐めんじゃないわよ! これでもおてんば姫と呼ばれたステラ様がベッドくらいで・・・!」
ヘロヘロなりながらも頑張って歩いてるステラが、ビシッと俺を指差し。
「でも・・・フカフカのベッドで寝たいわ・・・」
力無く下ろした。 人間、疲れた時は欲を出すものだな。
確かに硬い地面よりは、ベッドで寝たいものだ。
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