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「敵襲ー!!」
叫んだがそれはあまりに遅かった。
なぜなら、叫んでから1秒もしないうちに光りは落ちてきたからだ。
建物を破壊するほどの衝撃と爆炎の中、その落下点の中心に人影が見える。
それを目撃した警備の男は、壁についている通信機を起動させた。
「こちら、外部警護班から施設本部へ! ヤツです! ヤツが・・・《鉄槌》が現れました!」
この報告が流れると、すぐにサイレンが鳴り響き、武装した兵士達が大勢出てきて、落下点にいる男を取り囲む。
「お前は、包囲された! 観念しろ!」
落下点にいる俺へ向けて声が向けられたが、返答する気は無い。 しても意味がないからな。
落下点にいる俺の周りを、焼き尽くす炎の中心に立って、火傷おろか服に焦げ跡一つ無い。
「全員、一斉掃射!」
号令に従い、放たれる銃弾の雨。
しかし、その銃弾の雨の一発すら、男には届かなかった。
銃弾は、その灼熱の炎によって溶かされていたのだ。
「クソ! 効かないか!?」
落下点にいる男は、まだ立っているだけで何もしてない。
逆立つ赤い髪、両手には、手から肘まで覆われた赤い鉄甲。
鉄甲からは炎が噴き出している。
「生死は問わん! 絶対に仕留めろ!」
再び放たれる銃弾の雨。
すると、男はニヤリと顔を歪め、片腕を前に出し、拳を握り、鉄甲から噴き出る炎がその場にいた人間が最後に見た光景であった。
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