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かつて、一柱の神が世界を生み出した。
腕を一振りし森を創り、大地を巻き上げ山々を創った。
そして、神が流した涙は海へと変わり、陸地に混ざって川となった。
森や山々の緑と、海や川の青とで染まりつつあった大地を見渡し、神は高らかに言う。
『永遠の豊穣と、安らぎを誓う』
やがて、神は自身の子を産み落とす。
髪を切り、眉を剃り、腕をもぎ取り、乳房を切り落とし。
背中を削り、腹を削ぎ、尻を抉り、爪を剥がし。
太腿を千切り、膝を砕き、脛を折り、足を切った。
そうして自身の体から十二人の子を産み落とした時、神は一人多いことに気が付いた。
乳房を切り落とした時、己の心臓の一部までもが切り落とされていて、それが十三人目の子となったのだ。
子らは見た目こそ違えどみな等しく神の子であり、神の分身である。
神は子らに等しく愛を注ぎ、子らは神を熱心に愛した。
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