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「わんちゃん…どうしよう…なんか、ママと上手くメール出来ない…」
ご主人様は最初僕をわんちゃんと呼んだ。
なんでもいいんだけど…。
お母さんとのことで悩むご主人様は泣きそうな顔をしていた。
でも、僕は何も出来ないから。
少したってご主人様は卓球部に入った。
学校は楽しそうだったけど、家ではおじいちゃんやおばあちゃんと喧嘩ばかりだった。
物に当たっていろいろ投げたり、壁を殴ったりしていた。
手が僕の方にのびてきた。
あぁ、投げられるんだ。
いいよ。僕は痛くないから。
でも、ご主人様は僕を投げなかった。
震える両腕で僕を包み込んだ。
そして泣きながら、僕に語るように独り言を言い始めた。
それは壮絶な過去だった。
それでも我慢し続けたご主人様に、僕は心が痛くなった。
そして思った。
何があっても、僕だけはご主人様の味方だと。
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