イヌの気持ち

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ある卓球の大会 帰って来たのは6時頃だった。 ご主人様は初めて大会で勝てたらしく、すごく上機嫌だった。 それをお姉ちゃんとお父さんに報告しに行った。 だけど、二人はそのことには全く無関心で、更に疲れているご主人様に夜ご飯の準備をさせた。 ご飯を食べて、お風呂に入った後ご主人様は部屋に篭り、電気もつけずに泣いていた。 悔しいよ。 僕が喋れたら、すごいねって、お疲れ様って、頑張ったねって言ってあげるのに。 僕が動けたらご主人様の傍まで寄って行けるのに。 ご主人様は涙を拭いて友達に電話をかけた。 友達に話を聞いてもらっていた。 僕は…? そして電話を切った後僕の頭を撫でて言った。 「イヌが人間だったらな…」 僕もそう思うよ。 僕が人間のカッコイイ大人の男だったら、ご主人様を抱きしめてあげられるのに。 そしてその日ご主人様と知り合って、初めて一人の夜を過ごした。
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