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その日からだった。
僕は動かなかった。
ご主人様が僕に触れなくなったからだ。
もう捨てられるのかな?
なんでだろう。
少し寂しい。
どうして捨てられるのかな?
僕が人じゃないから?
ご主人様を慰めてあげられないから?
お願い。
もう少し一緒にいたいよ。
それから一ヶ月たった頃。
頭に暖かいものが触れた。
ご主人様の手だ。
捨てられる?
「久しぶりだわ。ほっといてごめんね」
捨てられるわけじゃないんだ!
よかった!よかった!
ご主人様は前のように僕を可愛がってくれた。
写真を撮って、モバゲーに貼ってみんなに見せびらかせていた。
僕は優越に浸っていた。
これは誰も知らない僕だけの秘密。
ご主人様は中学を卒業した。
帰って来たとき、目が赤かった。
いっぱい泣いたんだろうね。
寂しいんだね。
でも、僕はずっと一緒だよ。
お別れなんてないんだよ。
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