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「ふぅ…寝ちゃった…」
‘貝姫,をそっと閉じ、私は息子のやすらかな寝顔に、無理矢理笑った。泣いたって、何も変わらないのだ。
それにしても、永い永い夜だった。今日がいつもと変わらない普通の日々だったなら、こんな気持ちになっていただろうか。息子の動かない寝顔を、こんなにも目に焼き付けただろうか。
もうこれで、息子の傍らで本を読むことは永遠に無いだろう。
そう思いながら、病院のベッドの上で横たわる息子の寝顔を、そっと撫でて、私は言った。
「おやすみ…」
完
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