神の手のひら

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神の手のひら

薄暗くなり始めた部屋の中、少年は椅子の背もたれに身を任せ、息を吐く。深く、深く。肺に溜まった空気と共に迷う気持ちを吐き捨てるように。 少しだけ目を瞑った後、上体に力を入れて背もたれから体を起こし、学習机へと身を乗り出す。そして机の上で握られた右手へと目をやる。 その中には今、二つのものが入っている。それは、誰もが見たことのある物。硬質な正六面体。 少年はゆっくりとその右手を持ち上げ、開いた。 静寂に包まれていた部屋に二つ分の音が響く。固い物同士がぶつかる音。耳障りな音だ。 静止した立方体は、どちらも同じように、赤い丸が一つだけ掘られた面を上に向けている。少年はそれを確認するとその二つを再び右手へと収めた。 明かりのついていない部屋では、俯く少年の表情は見えなかった。
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