神の手のひら

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「なあ、賭けしない?」 二人だけになった放課後の教室。そこで少女と机を挟んで向かい合って座る少年が、少しの勉強としばらくの雑談を経て不意にそう切り出した。 「賭け?」 少女が怪訝そうな顔をする。それも仕方ないことだろう。少年と勉強や雑談をしてから帰るのは日常茶飯事のことであるが、賭けをしよう、などと提案されたのは初めてのことなのだから。 「うん、これ」 そう言って彼は制服のズボンのポケットからあるものを取り出し、机の上へと置いた。取り出されたそれは、二つのダイスだ。 「サイコロ?」 「そ。これなら公平だし」 「わざわざ持ってきたわけ?」 「いやいや、マジックの練習用。最近はまっててさ」 「ふーん。インチキのやつじゃないよね?」 「まさか」
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