10人が本棚に入れています
本棚に追加
「ま、三回連続でぞろ目なんて奇跡みたいな確率だからさ、そうそうでないって」
そう言うと同時に少年は押さえられた手からもう一方の手へとダイスを受け渡し、それを机の上へと放った。少女の質問には答えたのだから、問題はないだろう。たとえ少女がまだ受け入れていないことをその目から感じ取れたとしても。
ダイスは特有の嫌な音を発してぶつかり、転がり、静止した。二つのダイスを二人が覗き込む。出目は、二つとも1。
「うおう、出たね」
少女が目を剥き、少年も思わず声を漏らす。
「なんで!?」
「なんでって、そんなこと言われても」
少女はダイスの一つを手に取り、それを机の上へと落とす。勢い余って机の上を出たそれは、床の上を数度跳ねてから止まった。出目は、3。
「ご覧の通り、タネも仕掛けもないよ」
そう言って少年は机の上のダイスを手中に収めると、床に転がるもう一つもまたその手に掴んだ。そしてそのまま机の上へと移動させ、再びそれらを宙へと放った。
最初のコメントを投稿しよう!