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* * *
「……う、うう。」
ひとりの少女が意識を取り戻すと、蒸し暑い暗闇の中だった。しかも、やたら狭くて炭でできた柱や塊にぶつかり、辛うじて出口から漏れる光のおかげで、自分が地下にいる事を察した。
なんとか邪魔な炭達をどけながら少女が出口を持ち上げると、異様な熱と焦げた臭い、何より大勢の悲鳴が飛び込んできた。
「痛いよぉ……。」
「苦しいよぉ……。」
「水……、水……、」
等々。
なぜか道行く人々は、ゾンビのようにボロボロで、両腕から皮膚を垂らして歩いていた。
無傷の人はいない。
みんなガラスや金属の破片が全身に刺さっていて、余りにも不気味すぎる光景に、少女は地下へ急いで戻った。
そして。
母親に地下の収納スペースに押し込まれた事を思い出した。
「……ママ?!」
先程の光景に震えながらも、少女は再び出口を開けて見た。
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