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「寒かったやろ?
めっちゃ冷えとるに?」
怒ることもなく、百合は桜を部屋に入れた。
桜を風呂にいれ、その間に酒の肴と、これまたかっさらってきた御節を皿に盛る。
これも“見栄え”の練習で、丁寧に盛り付ける。
「ま、こんなもんやろ?」
上手くいったのか、満足気に百合は笑う。
勿論、写メをして、皐月にメール。
今頃旦那と楽しんでいるのを知っていて、邪魔をするのだ。
「…百合ちゃん」
「!」
振り替えれば、湯上がりの姪がそこにいた。
「さっくら~!ご飯にしようか~?」
「…うん」
普段、母親似で控え目なのに、何があったかは、聞かない。
聞いても仕方ないのだ。
いつの間にか、百合は酒を飲み出していた。
「あ~!新年早々飲む酒は、格別~!」
「百合ちゃん。
昨日も、同じこと、言うとったに?」
「あれ?そやった?」
惚けて、熱燗を飲む。
「…百合ちゃん」
「ん?」
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