“あの日”から…

7/16
前へ
/90ページ
次へ
ふと思う。 どうせなら、明日に姪を朝一に“椿さん”にでも連れてって、帰りに久しぶりに会いに行こうと思う。 ついでに自分もそこに泊まればいいことだし、“兄”にはメールで連絡すればいいやと、携帯電話を取り出した。 出てきたのは、ボロボロの携帯電話。 メールを早打ちしながら、桜に言う。 「桜~、予定変更~」 「?」 パチンと閉じて、ニッコリ笑う。 「朝一に“椿さん”に、参拝しにいって、その足で大きいじいちゃんのとこ、行こ!」 「へ?」 突拍子もない事を言い出して、「お父さん達をもっと、心配させたろ?」と、いたずらっ子のように笑う。 「…うん」 静かにうなずく姪に、デコピンを食らわして百合は言う。 「新年早々、凹むな!」 「痛いよ、百合ちゃ~ん」 「全く…。 あ、せや! 明日は蘭おばちゃんおるか、聴いてみよ~」 能天気に、またメールする。 「…」 それを眺めて、桜はお茶を飲みながら、今まで疑問に思っていたことを口にする。 「…なんでみんな、“花の名前”なん?」 「ん?」
/90ページ

最初のコメントを投稿しよう!

277人が本棚に入れています
本棚に追加