“あの日”から…

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*** 『…オレはこの後、どうなるのかな?』 懐かしい匂い、優しい声、大好きな温もり…。 見上げれば、二人布団にくるまれて、最期の夜を過ごしていた。 『(…平助や…)』 そこにいたのは藤堂で、百合の頭を撫でる。 百合もじゃれるように、彼の腕を遊べば、ふと藤堂は手をとる。 『本音は、お前と何処か遠くへ行きたい。 江戸でも伊勢でも何処でも…。 百合の側で、酒を飲みながら…』 『…』 『ずっと百合の、“恋人”ってやつでいたい』 真剣な彼に、百合は笑う。 少々誤解があるが、百合は身体を起こして笑う。 『なら、“最後に愛した”のはうち? ダーメ、平助はまだ若いんやから、前に約束したように、うちとは真逆な嫁さん貰いな~?』 本心ではないが、段々透けていく…。 百合は誤魔化すように、肩から浴衣を羽織り、酒を掴む。 『いーい? 絶対に、なんの肴もない“一人酒”は飲むんやないに? 花見や月見で癒されて、皆で騒いで、飲み明かして…。 いつかうちの代わりの妻(ひと)と、飲みなよ?』 この最期の酒は、“夢”から覚めるモノだから…。 ***
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