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「なぁー、愛ー」
「はーい?」
「シャンプーねぇんだわ、取ってくれるか?」
「あーごめんねぇ。ちょっと待ってて」
中途半端にシャンプーをつけた髪のせいで、目をしょぼしょぼさせる翔。
「洗ってあげよっか?」
「お前無茶すんなよー」
「いいの、大丈夫。はい、いくよー」
髪の毛を洗ってあげることが好きだということに、翔は最近気付いた。
美容師でも目指せばよかったのに、といつも思う。
愛は通信制の学校を無事に卒業してからも、職に就くことはなかった。
「痒いとこないですか~?」
「ないですけど、目が痛いです・・・」
「あぁーそれは我慢しかないですねぇ」
「んだよ、それ!」
「はい、流すのは自分で流してね」
そう言うと愛は自分の手についたシャンプーを洗い流して去っていった。
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