69人が本棚に入れています
本棚に追加
ニーハイ丈のスリムブーツ。
これなら、いざとなったら泳げるし、とにかく動きやすいに越したことはない。
通りすがりのショップのウィンドウガラスでささっと髪を整えて、私は定刻通りのバスに飛び乗った。
行き先は、ククルーマウンテン!
「はあ……とうとう、このときがやってきたか……」
イルミに逢えるのは嬉しい。
正直、ずっとずっと待ち遠しかった。
でも、いきなり嫁に来いというのは、トモチカの言っていた通り急すぎる。
まずは、健全なお付き合いから始めさせて下さいと、しっかりお願いしないといけないな。
うん。
気持ちを新たに、山道をガタガタとバスに揺られていると、アニメでお馴染みのバスガイドさんがお仕事ボイスを張り上げた。
「みなさあ~~ん!あちらをご覧ください!あの山こそククルーマウンテン!言わずとしれた暗殺一家、ゾルディック家の私有地にそびえ立つ、標高3700メートルの山。この広大な敷地のどこかに、幻の暗殺一家が棲むと言われています。怖いですね~~!!」
そこの長男に、今まさに結婚を迫られている私がここにいますがナニか……?
はあ……なんだか早くも鬱になってきたよ。
なんだこれ。
マリッジブルー?
最初のコメントを投稿しよう!